大腸の病気
大腸がん
がんによる死亡原因として、大腸がんは男性が3位、女性が1位となっており、今後、男女とも1位になると考えられています。ただし、大腸がんは早期に内視鏡による切除を行うことで治癒できる病気です。大腸がんのほとんどは大腸ポリープから発生するため、前がん病変の大腸ポリープを切除することで予防にもつながります。早期の大腸がんや大腸ポリープには症状に乏しく、定期的な内視鏡検査を受けないと発見することはほとんどできません。健康診断の便潜血検査は進行した大腸がんを見逃してしまうこともありますので、陰性でも大腸がんリスクが高くなる40歳を超えたら大腸カメラ検査を受けるようおすすめしています。
進行大腸がん
大腸がんは、進行すると大腸の粘膜の奥に侵入していきます。これは、他の臓器やリンパ節への転移が起こる可能性がある状態で、死亡リスクも高くなるため、早急な治療が必要です。血便や便通に関する症状がある場合や、便潜血検査陽性を指摘された場合にはできるだけ早く受診してください。
大腸ポリープ
大腸粘膜にできた腫瘍は大腸ポリープと呼ばれ、いくつかの種類に分けられます。大腸がんは放置されたポリープの腺腫から発生することが多いのですが、ポリープの大腸腺腫を切除することで大腸がん予防につながります。小さいものが大きくなっていく前に切除することで効果的な予防につながります。当院では検査時にポリープを発見した場合、同時に切除することが可能です。
大腸憩室症
大腸粘膜にくぼみのようなものができている状態です。そのままでは特に症状を起こしませんが、自然になくなることはなく、炎症や出血を起こす可能性があります。憩室にはできやすい体質、食生活、便通なども関わってきますので、憩室が発見されたら定期的に受診することが重要です。
潰瘍性大腸炎
大腸に炎症を起こし、びらんや潰瘍ができて下痢、血便、腹痛などの症状が現れます。症状がなくなる寛解期を挟みながら繰り返し症状を起こす慢性的な病気で、原因がまだはっきりわかっていないため難病指定されています。ただし、炎症を効果的に抑える治療を寛解期にも続けることで、発症前に近い生活を送ることも可能ですし、進行させないようコントロールすることもできます。
直腸カルチノイド
直腸にできる「がんによく似た」腫瘍です。サイズが大きくなるとリンパ節、肝臓への転移を起こすことがあり、危険な病気です。早期発見と切除には内視鏡検査が有効です。
直腸潰瘍
肛門に近い直腸下部に潰瘍ができます。潰瘍から出血を起こすまでは自覚症状に乏しく、出血が生じると血便や貧血を起こすことがあります。栄養が不足している方や高齢者に多い傾向がありますが、発症の原因はまだわかっていません。
大腸脂肪腫
腫瘍の内容が脂肪のかたまりで、小さいサイズの場合には特に問題はありません。ただし、サイズが大きくなると狭窄や閉塞を起こすことがあります。そのため、定期的な受診が必要です。
大腸メラノーシス
一部の大腸粘膜が色素沈着している状態で、センナや大黄が含まれている便秘薬の常用によって起こっているケースがほとんどです。症状は特にありません。便秘薬の常用が便秘の慢性化につながっている場合もよくありますので、大腸メラノーシスが見つかった場合には便秘の原因や状態、生活習慣に合わせた専門的な治療をおすすめします。